C.C.はかく語りき

 総領事を殺した武官はどんな奴かだって?
 お前と違っていい男だぞ。そそっかしいどこぞの坊やとは大違いだ。
 そうだな、例を上げて言うとすればあの身のこなし、相当の鍛錬を積んでると見える。
 武官のくせに頭は切れるし、武術においては言うに及ばず。一度お前と知恵比べを是非させてみたいものだ。
 おいおい、無駄とは言うが、あの者の頭脳も相当のものだろう。それはお前が一番分かっているはずだ。
 すっかり予定を狂わされてしまったからな。あの白い顔をした男、いや、オンナか? もう少し長く使うはずだったろう。
 しかしあいつにもあいつなりの信念があるようだし、うまく借りが作れたじゃないか。
 あいつは借りをつくったままにするのが嫌なタイプだ、ここぞというところで役に立ってくれそうだな。
 それよりそろそろピザを食べたいのだが……そう喚くな。煩い。
 まったく不便なものだな領事館というものは。
 去年は良かった、ピザが山ほど頼める環境というのは実に恵まれたものだったのだな。
 こんなことなら中華連邦ではなくEUの領事館に逃げ込めば……わかっている、冗談だ。そんなこともわからんとは流石坊やだ。
 ……お前まだあいつの事を聞きたいのか、とんだご執心ぷりだな。
 どうやら我が共犯者は想ってくれる女がいるのに男の方が好きらしい、なんとも罪深い男だ。
 電話で喚くな、耳が壊れる。
 あと何が知りたいのだ。頭脳明晰、身体能力に優れる誇り高き武人。それが私の見たところの黎星刻という男だ。
 もっと深い人となりなど今時点で知るわけもなかろう。
 ……そうだな、推測を交えて言うとすれば、総領事を殺したのも深い信念あってのことで私憤によるものではないだろう。
 おそらく、あの国の体制によるものではないかと思う。知っての通り、今の中華連邦は傀儡政権だろう。
 幼い帝を象徴としつつ宦官どもが実際の政治を取り仕切り私服を肥やしている。
 混乱に乗じて総領事を始末したのも、奴が宦官だったからだろう。
 あのような甲高い声は宦官の特徴だからな、見ずとも察しは付くのだよ坊や。
 ともかくあの有能な男を得ようとするなら、その顔で帝をたらし込むのが一番だろうな。
 キョウトの女を引き入れた時のように。
 悪い男だ、結果のためには目的など選びはしないか。
 しかし見てみたいものだ、赤き灯火の元に集う星を刻みし者を。

 それよりお前のほうこそ何かあったのか。何やら少し声の調子がおかしいぞ。
 ……かつての親友か、それは面白いことになったな。
 ……何、学園祭を再び開くだと?
 それは、いやなんでもない。
 ちなみにいつやるんだ?
 ほう、そうか。ではそれまで忙しいことだろう、緊急時以外こちらからの連絡はやめておくことにする。
 なあに気にするな。学生としての役割をしっかり果たすことだな。
 必ず学園祭を成功させろよ、ルルーシュ。
Written by BAN 0506 08

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